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ビザンツの妖精リメイク記



こんにちは、kanonです。

今回は珍しく、自分の作品をリメイクしてみました。


右がリメイク前、左がリメイク後の画像です。

まずはリメイク前の作品を

リメイク前の作品がこちら!だいたい高2の16歳頃に描いた作品です。タイトルは「ビザンツの妖精」です。


なぜ、ビザンツ?

タイトルにある「ビザンツ」とは、4世紀末から15世紀中頃まで東欧~コンスタンティノープル(イスタンブール)を中心に大地域を支配したビザンティン帝国(東ローマ帝国)の美術様式のことです。(引用: http://www.salvastyle.com/menu_symbolism/mucha_brunette.html )


しかし、実際に私がビザンティン様式に興味を持ったのは、ミュシャの作品を介してでした。


当時、美術系の高校に進んだ私は、古典美術や絵画などに触れていくうちに、少しずつ興味を持って行きました。


中でも特に興味を持った画家がミュシャ。


彼の画風は古典絵画の中ではかなりイラストチックで、かつ当時私が好きだったイラストレーターさんが参考にして描いていたこともあり、すんなりと興味を持ち、真似してみたくなったというわけです。


彼の作品の中には「ビザンティン風の頭部 ブルネット・ブロンド」という作品があります。

http://www.salvastyle.com/menu_symbolism/mucha_brunette.html


もとより装飾品の美しい彼の作風ですが、この作品には、この装飾品には特に惹かれたのでしょう。

当時好きで別に真似てた絵描きさんの画風をやっぱり参考にして、描いてみたというわけです。

レッツ作画!妖精らしい妖精に!

そんな当時の作品を見返していると、なぜかフツフツと「リメイクしたい…」と、欲が出てきて、気がついたらラフとって、色塗って、描いてたわけです。


ではまず構図やラフから解説していきます。


元絵の問題点

今回、リメイク前の作品を見て思ったことがあります。


「これのどこが妖精なんだ…」


と、確かにエルフ耳ですがね。

妖精だと一発でわかるにはまだ情報が足りません。


さらに多分この頭についているビザンティン風の飾りが、この妖精ちゃんを「ビザンツの妖精」足らしめる一要素なはずなのですが、向きが横向きになり、いまいち目立たない。


「なぜ、一番目立つ飾りが一番目立たない向きでポーズを取らせたんだ!!」


ですので、まずはこの妖精ちゃんが、ビザンツの妖精であることをわかりやすいように構図やポーズから直す必要があります。

解決しながら描いてみる!

だいぶ描き進めちゃった状態ですが、こんな感じで構図を取ってきます。


頭のビザンツ飾りを、一番目立たせるポーズをとらせます。つまり、大元のミュシャの作品のように、ビザンツ飾りを正面から見た、丸い姿で描くわけです。

さらに飾りそのものを大きくして、まるで帽子をかぶっているかのようなイメージにし、より目立たせます。


さらにこの妖精ちゃんが妖精だという情報を追加してみました。まずはわかりやすい妖精の羽、複雑な色味にして妖精らしく、蝶の羽を資料に描き進めます。


次に妖精ちゃんの体型、性別を根本から見直します。


元絵の妖精ちゃんは大人っぽく、女性らしいイメージです。

しかし、これは今回の私の妖精に対する個人的な解釈ですが、妖精というのはあまり生き物らしくない、神とか精霊とかに近い生き物なんじゃないかと考えました。


ですから生き物がもつ、年齢や性別を感じさせない見た目や性格になるのではないかと解釈して、妖精ちゃんの体、特に肩から胸のあたりを薄くします。若干男性を意識して描いているのですが、これである程度女性らしさが消えたかなと。


さらに先ほどの解釈から性別という概念がない妖精ちゃんですから、当然肩や胸がはだけてもあまり恥ずかしいとは感じないのではないかと考えました。


性差ゆえの羞恥心も希薄で、服はその辺の布をテキトーに拾って纏ってるだけで、はだけようが、裸が見えようが気にしない。ということを表現すべく布をアクセサリーで止めてるだけ、その辺の布をテキトーに纏っただけという感じで少しだらしない感じで描き込んでいきます。


あと気になったのがこの赤い髪留め。

元絵では何気なく描いてますが、かなり気になりました。


「この髪留め素材何!?」



今思えば元絵だとプラスチックみたいに見えますが、装飾にここまでこだわってる妖精ちゃんがなぜプラスチックなんか身に付けるのか。


そりゃ、ビザンティンの時代やミュシャの時代からしたら、プラスチックは未知の宝石みたいなものですけど、言い訳がましいので、ここは古来よりアクセサリーなどに利用されていたべっ甲を資料にして書きこみます。


が、色が色なのか、あまり似てない印象に。 元絵よりは重厚感ある素材には見えますがやっぱりちゃんと描けるようになりたいところです。透け感が足りなかったんですかね…


背景は最初紫一色でしたが徐々に植物を描き込んで、妖精のいる泉周辺の環境にしていきます。左側には、元絵の背景で使った素材のシャンデリアが転がってる様子を描きますが、すこしわかりづらいです。

逆に元絵に驚かされたこと

一見反省点だらけで、そのブラッシュアップのために描いているようなイラストですが、逆に元絵の方が優れている部分もありました。


それは、とにかく細かいこと。


特にビザンティン風の腰の飾りの書き込みが一つ一つ細かかったです。


遠目で見ると、ただの丸い飾りの連なるベルトですが、近くで見るとなんと丸い飾りの一つ一つの模様が違うのです。


あまりの細かさに自分でもびっくりしながら描いていました。


必死で線を拾おうとしますが、あまりの細かさに今の厚塗りの筆やタッチでは拾いきれませんでした。



妖精ちゃんの髪飾りは、実は元絵の腰の装飾の丸い飾りのうちの一つをもとに描きました。実際の頭の装飾はもっと細かいです。横向きだけど。


「過去の自分に負けてる…!?」


と、ちょっとショックだった出来事ですが、間違いなく今の作風の課題なので、意識して描き込みを細かくしてみたりして鍛えてみます。

昔できたことだもの、やればまたできる!


ただし、元絵はビザンティン風の飾りの書き込みは細かいのですが、目立つスカートの柄とかが手抜き丸出しなので、おそらく装飾を描いて力尽きたのでしょう。


まだ絵に対する体力が足りてないというか、体力の使い方に関する経験の浅さを感じますが、これはこれで当時の自分というものがよく見えるので好きです。


昔よくやってたことのオマージュ、テクスチャ貼り

元絵を描いていた高校生の当時、よくやっていた手法です。

テクスチャになる写真(この場合は紫色のカーネーション)を、オーバーレイ効果をかけて、ぼかしたり透明にしたりして、元絵に貼り付けます。

これをやると、写真の質感を足せたり、色味に複雑さを出せたりします。



全体的にテクスチャを貼って調整してみました。左がテクスチャを貼った後の写真です。紫色の色味とカーネーションのモヤのような陰影が増えて、より怪しい感じになりました。


考え方の改革に気づけたリメイク

リメイクの一番の良さって、自分の成長を実感しやすいところにあると思います。


自分は特に人と比べて焦ったり、嫉妬したりして消耗やすいので、一旦絵を描くということを「自分との戦い」に持ち込めるように、そのトレーニングも兼ね、リメイクしてみた節があります。自分の絵をよりよくするという点でもプラスですし。


結果、元絵を描いた当時とは技量も変わった(…と、信じたい!)ことがわかりましたが、何より絵に対する考え方が大きく変わったのがわかりました。


「この絵はこういう絵だから!」

と、元絵を描いた私が意固地になって、似たような絵を描き続けていたら、技量は上がっても、どこかで私の絵に対する成長は止まっていたでしょう。


考え方の改革というのは、時に自分の信じてたものが裏切られるから、かなり苦しくなることがあります。さらに技術と違って、変化が見えにくいからないがしろにされがちです。


しかし考え方の改革が無ければ、限界を超えての成長もあり得ません。ある地点で成長が止まってしまいます。


そんな苦しくもリターンがわかりづらい考え方の改革を私はこの6〜7年間しっかりやってのけてたんだな〜とこのリメイクを通じて初めて感じました。それくらい重要性とリターンと、そもそも考え方の改革をつねにしてるのか気付かないようなことですが、考え方の改革ができてたからこそ技量や表現も伸ばすこともできたのかもしれません。


ただ、ここで考え方の改革を止めてしまうとそれまでなので、まだまだ考え方の改革を続けなければなりませんね。

過去の自分が勝ってる部分もある

今回のリメイクで一つ考え方の改革があったのは、「過去の自分が勝ってる部分もある」ということです。


「過去の自分に負けるはずない!」と始めたリメイクですが、今の自分が負けることがあるのだなと実感しました。


絵の細かさは、丁寧さは過去の自分が勝っていました。


「丁寧に描き込みすぎると、絵の見所がわからない平面的な絵になる」


「描き込みすぎ!」


とアドバイスをもらうことが多く、最近は少ない描き込みを描き込みの差で見せることを課題に描いていたのですが、それが裏目に出たのか。元絵と並べてみると、今作は少々雑な印象を受けます。これがキレイに決まってるのならいいのですが、雑に見えるのは良くないです。


丁寧さや細さを高めることが今後の課題になってくるでしょう。引き続きこの点に関しては研究し、技術を鍛える余地があります。


まだまだ改革の余地がある!それが嬉しく感じたリメイクでした。






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