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猫の首に鈴をつけてみた 制作記



猫の首に鈴をつけるネズミは現れなかった…と、ここまでが史実だが、現れたのだ。

猫の首に鈴をつけ、さらにその様子をさも楽しそうにチューチューブに投稿する勇者が…。


と、ここまでがこのイラストのコンセプトになったお話です。ネズミたちが天敵のネコが現れた際にわかるように猫の首に鈴をつけようとするお話が元になって生まれた、「猫の首に鈴をつける」ということわざが元になっています。このことわざは実行困難、あるいは不可能なアイデアという意味で使われるのですが、この主人公のネズミちゃんはちゃっかり実現してしまってるわけです。


今回はツイッターでも言われたのですが、今までの私の作風とはかなり違った雰囲気の作品です。なぜいきなり、違う作風でイラストを描きはじめたのか。今回はそれも含めてお話ししていきます。

ギャルゲ塗りの練習がしたい!

私はよく、就職やお仕事を取ることを意識してポートフォリオ(イラスト集)をつくります。

今回も、私の先輩が紹介してくれた会社に出すべくポートフォリオを作っていたのですが、先輩にもっと違う絵柄をのせてみたらと、アドバイスをいただきました。


だからいっそ、商業でよく使われるような絵を描いてみたいなと思い、その中でも一番楽しそうだなと目をつけていたギャルゲ塗りを、流行りの塗り方や配色を織り交ぜながら試してみようと思い描いてみた次第です。


ギャルゲ塗りは、アニメ塗りのように陰影や形がわかりやすい塗り方なのですが、特に女の子の肌の柔らかさ、質感を感じさせる塗り方です。

「この質感を書き込むのが楽しそうだから」という理由で今回はギャルゲ塗りを意識して描いていきます。


とりあえず描いてみる!

ただ、可愛い、萌える!だけじゃなく何かしら具体的なテーマやストーリー性がないと描いていて途中で飽きるのは明白なので、とりあえず「来年の年賀状にするイラストを描く!」と決めました。


年賀状はふだんから私の絵を見ている人だけでなく、そもそも絵をあまり見ない層の知り合いにも届ける物ですので、より大衆を意識したギャルゲ塗りの練習にいいのではないかと思います。


あと、私事ですが毎年年を越すか越さないかくらいにギリギリで描いているので、余裕を持って仕上げるという意味でもいいかなと。


来年の干支はねずみ年なので、ネズミをテーマにねずみの女の子を描いていきます。


最初はただ女の子のギャルゲ塗りの練習のつも

りでしたので、背景は描いてません。

ただただ女の子(以下ねずみちゃん)がギャルゲ塗りっぽい、体のラインをアピールし、かつ彼女の性格を感じさせるポーズをとらせることを考えて描きました。線画からギャルゲ塗りは始まります。




めでたい新年に向けての年賀状なので、性格も、サバサバと心地よく明るく弾けるように元気な性格の子として描いていきます。


ネズミの耳って普通はもっと小さいのですが、小さいとぱっと見で分かりづらいので、耳の大きなチンチラを参考に描いていきます。

年賀状らしく和装なのですが、身軽さとお尻を見せるべく中に白いレオタードを着ている程で描きます。

ねずみちゃんの身軽さを見ていて「ねずみ小僧(江戸時代にいたとされる義賊)」を連想します。盗賊らしく、短刀を追加したり設定を詰めながら線画を描いていきます。

線画は一度描いたらやり直しが大変というイメージがあったのですが、意外と足したり引いたりが自由に出来て面白かったです。


手袋やニーハイなどの食い込み感、脇やお尻などを資料をみたり、実際にギャルゲ塗りをしている絵描きさんの絵やメイキングを参考に描き進めていきます。自分の普段の作風じゃないだけに、入念に研究しつつ描きます。

(グレーの影は単につけてみたくてつけただけですが、清書じゃないので消しましたw)


色つけ

線画が終わったら色をつけます。

今回は商業を意識して髪、肌、などなどレイヤーを細かく分けて塗っていきます。


が!どうも私が使っているprocreate というソフトだと、レイヤーを19枚しか作ることができないそうで…

泣く泣く分けたレイヤーを結合して事なきを得ました。が、あとでレイヤーフォルダを作れば19枚を超えて作れることの気がつきました。


肌や肌に密着する服のあたりに赤みを指していきます。特に目の周りや頬周りなど赤みがわかりやすい部分を重点的に入れていきます。


思ったより白が多くなってハツカネズミぽくなってしまいましたが



せっかくなので背景も描いてみる

色つけの工程ですでに描かれてますね...

今回も色を置いてる際中に絵のコンセプトが決まり、背景を思いついたので、ねずみちゃんの塗りと共に背景を書きます。


背景も線画から描いてしまうと画面がごちゃついて、ぱっと見でねずみちゃんに注目できないので、あえていつもの厚塗りタッチで描いていきます。


神社の鳥居は、年賀状感を出すという意味と、危険なもの、恐ろしいものを神様として祀ることで鎮める日本の神社をイメージして描きました。


ねずみたちにとっては、この猫が荒神様みたいなもので、祀ったり、食料をお供えして怒りを鎮めていたのでしょう。


猫の首の鈴も、封印グッズ見たいな感じでお札をべたべた貼ってます。

背景は光源が分かる程度まで描き込み、大体の構成が分かるようになったら陰影付けに進みます。

お待ちかね!影と光を描く

お待ちかねの陰影付けです!この工程でネズミちゃんのむっちり感が増していきます。



まずは背景を書いているときに決めた左斜め上の光源を元に大まかに影をつけていきます。影の色はギャルゲ塗りを意識して赤っぽい色を置いていきます。この赤は、メモにもある通り背景が緑っぽくなるので、補色の関係でネズミちゃんを浮かび上がらせるという役割があります。人間の目は暖色を一番に捉えるとされているので、そういう効果も狙ってます。



大まかに塗った影を筆やエアブラシを使い、滑らかな影に仕立てていきます。肌や肌に密着している服は肌のように滑らかに塗っていきますが、下駄や着物、足袋などちょっと硬いものの影はパキッと筆でタッチを入れたりします。影は統一感を持たせるべく、画面の斜め右上のあたりに普通レイヤーでカラーパレットを作り、カラーパレットから決まった色を抽出しつつ描きます。


光も加算レイヤーで入れてみたのですが、下の影の乗算レイヤーと混ざるとどうも変な色になってしまい、特に髪のハイライト塗りができずに悩んでいました。そのあとスクリーンレイヤーを使えば、下のレイヤーに影響されないことに気づきました。

色、構図の調整をしながらさらに描き込む

背景もぼちぼち描いていきます。しっかり資料を見て描き進めると説得力が増していきます。



猫の目の位置をネズミちゃんの顔とお尻とで三角形を作る位置におくように調整しつつ描きます。三角形を利用した構図の取り方は古典絵画でもよく取り入れられるもので、この三角形のある位置に1番に目がいくとされています。


ねずみちゃんの耳の書込みが少ないことが気になって急遽資料を見て描き足しました。急遽感が丸出しになってしまいました。耳毛のフワフワ感をもっと上手く表現できればよかったです…。


ちゃっかり帯やニーハイの紐も描き込んであります。


Photoshop で仕上げ!

Photoshop では調整と、雲や花びらなどエフェクトを描いていきます。


色調整はprocreate でもできるのですが、微細な色調整はphotoshop のほうが断然いいです。


雲や花びらなどは、photoshop だけで描いていた時代にダウンロードしてた雲や花を描く用のブラシがあるので、それを使って描いていきます。


まずはネコちゃんの手に移動ぼかしを入れます。ネコちゃんの手が激しく動いている様子を表現します。


雲のブラシで雲を描きこむほかに、ネコちゃんの吐息のもやを描いていきます。熱線を吐く前(後?)のゴジラをイメージして描き進めます。


雲のブラシの他にも、スプレーを散らしたみたいなブラシがあったので、それで空気のチリのようなものを書き足していきます。


途中左下の角がちょっとのっぺりと立体感がない感じがしたので、右下の角の黒っぽい色に変更し、強く暗い影を表現し、立体感を出していきます。


花びらは一番時間がかかりました。まずphotoshop に花びらを描くブラシがなかったので手書きで書き込みます。


花びらを散らす位置、風向きを考えながら、ふわふわっと舞い散る感じを目指します。


ついで小判も散らします。小判は途中入れなくてもいいかなと思っていたのですが、入れなくてもいい理由が特になかったので描いてみました。



ひとまず完成です!


今回はあまりやらない描き方だったので、拙い点もありますが、まあまあ描きたいものが描けたかなという感じです。


気になるのは光の表現と線画が少し雑になってしまったことです。線画はギャルゲ塗りでかなり重要な工程なので綺麗に描くことを心がけなければなりません。


今回はコンセプトと完成図がとてもわかりやすく、最後までダレずに、比較的サクサクと進めることができました。

ギャルゲ塗りの他にも、線画と塗りを分ける塗りだと、はじめに何を描くか線画で決めてしまうので、だいたいの完成図が把握でき、完成を目指してひたすら描くだけなので、あまり迷わず進めることができます。

このテンポの良さをいつもの厚塗りに活かしたいものです。


これからもいつものタッチとは別にちょくちょく描いて、鍛えていきたいなと思います。



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