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  • 執筆者の写真kanon

「私だけの贅沢」anShe catイラストコンテストに出展!

更新日:2020年3月10日

こんにちは、kanonです。

ここ最近の世論の流れもあり、(あまり例のやつの話はしたくないのであえて避けています。ご了承ください)、バイト以外では極力外出をしないように心がけざるを得なくなってしまっている状況が続いてますが、家にこもってずっとイラストを描いているイラストレーターとしては、こんな時こそ好機!

普段暇さえあればあっちにこっちにふらふら外出してしまう癖を矯正ついでに、イラストをたくさん描いて、描きためて、より理想とする作品を目指す絶好のチャンスと考えています。


同時に3月は何かとイラストのコンテストが重なる時期でもあります。

この機会にコンテストに挑戦しまくってやろうと2月下旬からコンテストに向けてイラスト制作をしています。


今回のイラストは昨年受賞させていただいた、「anShe」というファッションブランド主催のコンテスト「第4回anSheイラストコンテスト」に出展した作品です。


「猫」をテーマにしたイラストコンテストというのもあり、猫を描くことが多い私としては、気合いを入れて制作を進めることができたと同時に、悩むことも多い制作でした。


今回はその一部始終をお話ししていきたいと思います。


「私だけの贅沢」、エジプトオタクな女の子の幸せな時間

今回は黒猫と同化させたかったという理由で黒いものを選びました。

甘すぎない黒で、つやつやふかふかのベロア素材と丸いシルエットの袖が可愛らしい1着です。

今回のイラストは「家での密かな楽しみ」をテーマに描いています。



内向的だけど密かで豊かな楽しみを持つオタク気質な女の子(ケプリの指輪をつけているので、以下ケプリちゃんと呼びます)と、家飼いの黒猫たち。


オタク気質なケプリちゃんですが、自身のオタク趣味を普段人にあまり見せたがらないため、こうして一人と家飼いの猫たちとともに趣味を楽しむ時間をとっているのです。


ケプリちゃんにとってオタク趣味とは、自身の深層の、人間として根幹にある「好き」の追求です。

そのため、その「好き」をむやみやたらと人前に晒して傷つけられることを恐れています。

それはケプリちゃんにとって自分自身を傷つけられることと同じだからです。


ケプリちゃんにとって、そんな「好き」を臆することなく追求できる時間は少ないですが、とても大切でその時間をいかに上質なものにするか拘るべき時間でもあります。


だから彼女は家の中でもメイクをして、可愛らしいanSheのワンピースで着飾って楽しむのです。


大好きなエジプトや考古学に囲まれて、美味しいエジプトパンとエジプトビール、神秘的でかわいい猫たちと、anSheの可愛らしいワンピース。


誰に見せるわけでもないのですが、自分のためにしてあげられる最高の贅沢とそれを演出するanSheのワンピースというのが今回のイラストのテーマです。

 


前回描いてそして受賞した女の子のような、エキゾチックな魅力のある女の子が描きたい!といろいろ考えていたとき、エジプト神話をテーマに描いてみようと思い立ちました。

エジプト神話には「バステト」という猫の神様がいて、いつか猫をテーマにした絵を描くときに、その設定をどこかでいかせたらいいなと思っていたからです。



バステトは「琥珀色」を所有色としているらしいので、このイラストも琥珀色をアクセントに使って描いています。


黒猫たちはケプリちゃんの確かにあるけれど隠している気持ちの現れとして、あえてドレスの色に同化させるように描いています。


かと言って同化して全く見えないのは絵として微妙なので、黒の中にも明暗や「〜色よりの黒」と言ったように黒の中にも色を仕込んでいきます。

さらにワンピースのベロアの光沢のある素材の表現も難しく、黒という色の表現にずっと悩んでいました。



写真で黒猫が黒い背景に同化している様子を撮ると本当に同化して見えるため、リアルに描くとなるとほぼ黒一色に黒猫の目だけが輝く様子を描くことになるのではないかと気づき、制作終盤で色のない普通の黒でこねくり回し、作り込んだ色混じりの黒の上にベタ塗りを試してみたところ、画面が締まっていい感じになりました。

ダメ元でも、実験ってやってみるものですね。


そして猫ちゃんを描いていると、「猫ちゃんはもっとかわいい!」と何度描いても納得いきません。

イラストチックな描き方を目指したのですが、資料をみて猫ちゃんの細かなラインや形を真似ながら描いた方が可愛くかけました。

が、まだ満足しているかというと全然です。

なんとか猫を可愛く描く方法を見つけ出したいところです。


いつも描いているような構図の絵でいて、かなり難しい試みが多く、終始悩んで描いたイラストでしたが、エジプト神話を調べながら描くのが楽しくて、自分の新たな楽しみやスタイルの可能性を感じながらかけたのが良かったです。

私だけの贅沢、ボツ案。

実は今回投稿したイラストを描くのに、普段は1週間ほどで描いてしまうのですが2週間かかってしまいました。


というのも、2週間前に描き始めて、いい線までいっていたイラストをボツにしてしまったからです。


そのイラストがこちらです。


テーマは今回あげたイラストと同様「家での密かな楽しみ」。

このイラストは猫たちと食卓に登りお茶会をしているというシチュエーションです。


前回受賞したプレッシャーもあり、anSheの利用層をより考えた女の子らしい可愛い画面を意識して描きました。


女の子に黒いドレスを着せて、黒いドレスと黒猫が同化していて、よく見ないとわからないというアイデアはこのイラストを描くために思いついたものでした。



あと、このとき背景をなるべく描き込まずシンプルな絵にしようと決めて描いているのですが、余白の表現が苦手でがっつり背景を描いてしまっていますね。


最初はこのイラストを投稿すべく描いていました。


商業を意識していたのもあり、一般的にかわいいと言われる価値観や、流行りのシンプルな構図を取り入れてみたり、ある意味自分らしさを殺しながら制作に取り組んでいましたが、描けば描くうちに「こう描けばかわいいんだろ?」と誰かの価値観をなぞっただけのような気分になり、だんだん自暴自棄になり、かつ自分に課した課題を上手くこなせなかった苛立ちもあり、描くのが嫌になってボツにしていまいました。


自分らしさにこだわりがあるわけではないのですが、自分らしさを殺しても絵を描くのが嫌になるんだなと意外な自身の一面に気づきました。

 

商業イラストレーターとして、絵において自分らしさを殺せないことは、あまり好まれることではないのは最近仕事をするようになって身に染みています。

(単に技術が足りなくて商業ぽく描くのか難しいだけかもしれません。)


ですが、前回のanSheイラストコンテストの受賞は、「自分が自分の好きなように描いても認めてくれる人がいる!」ということに具体的に気づけた出来事だということを思い出し、最終的には伸び伸び描くことにしました。


テーマも世界観も好きな感じのイラストがかけたのですが、好きな世界観なだけに「もっと上手く描けただろ!」と悔しく思う制作でしたが、自分らしく描けてよかったなと心から思えた制作でした。




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